【書評・口コミ】星の王子さまの恋愛論
世界で最も読まれている寓話をあの『いちご同盟』の著者、三田誠広が解説!!
~概要~
永遠の名作『星の王子さま』は、実は恋の再生を描いた物語だった――。かんじんなことに気づかず、一度は想った相手を捨てて旅に出てしまった王子さま。たくさんの出会いを経て、彼が最後にたどり着いた真実の愛とは……。孤独な人生を送った原作者が、身を切るような思いで作品にこめたメッセージを丁寧に読みときます。愛に迷ったとき、『星の王子さま』が大切なことを教えてくれます。(Amazonより)
~感想~
おすすめ度:★★★★
私が最も読みたかった、小説家による小説の解説書というジャンルです!
私は元々、自分が本を読んだときに、人と感じ方がどのように違うのか?正しく作者の意図を理解できているのか?ということにとても興味がありました。
なのでいままでもこのような専門家(小説家)のが書いた解説書をいつか 読んでみたいと思いながら今まで本屋を漁っていました
が、あまりピンとくるものはなく、、、
ただ、この本を見つけた時には即買いしました。笑
なんといっても『いちご同盟』の著者である三田誠広が書いた本という事がおおきかったです。
実際に本を読んでみても、期待通りの内容でとても楽しめました!
『星の王子さま』は以前に3度ほど読んだことはありましたが、正直理解は浅く、この本を読みながら
このセリフはこんな意味があったのか!
ここは著者のこんな経験から来ているのか!
など多くの発見がありました。
この本を読むときには、直前に『星の王子さま』を読み、自分が読んでいるときに感じたことと、三田誠広の視点からみた『星の王子さま』を比較すると楽しさが倍増するのでおすすめです!
~解説~
まずこの本は、
・星の王子さまとはいったい誰なのか?
・サン=テグジュペリはどういった人なのか?
・星の王子さまに隠されたメッセージとはなにか?
の三部で構成されています。
一つ一つ解説していきます。
・星の王子さまとはいったい誰なのか?
三田誠広は星の王子さまはサン=テグジュペリの幼少時代の姿を描いていると解説しています。
『星の王子さま』の冒頭にある象を飲み込んだウワバミの絵ですが、これはサン=テグジュペリが実際に幼少時代に書いたものなのではないかと言われています。
また王子さまは「まるで大人みたいな言い方をするね!」といった語り手の飛行士を批判する言葉に代表されるように
”大人”という存在の対照として描かれています。
その観点からみると、サン=テグジュペリがいかに大人に対して期待を抱いていなかったといったことも理解でき、本の理解も進みます。
・サン=テグジュペリはどういった人なのか?
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは1900年、6月29日フランスの大都市リヨンに生まれました。
両親は共に貴族の家系で、幼少時代をお城で過ごしました。
子どもの頃より、空への憧れは強く、兵役についた際にはパイロットに希望し、実際に任命されるまでに至りました。
兵役が終わってからは当時の恋人との関係もあり、一旦サラリーマンとして働きますが、寡黙でユーモアのセンスにかけたサン=テグジュペリは営業の成績は散々なものだっという話が残っています。
その後、恋人との関係も切れまたパイロットとして職につきますが、サン=テグジュペリの作家活動はこのころより始まりました。
処女作の『南方郵便船』
代表作の『夜間飛行』、『戦う操縦士』
も自身のパイロットとしての経験をもとに書かれたものとなります。
『星の王子さま』も語り手が砂漠に不時着する場面がありますが、これも自身が砂漠に不時着した際の経験を基に書いているとされています。
サン=テグジュペリは作家として名を馳せた後、結婚をすることになりますが、お互いが自由に過ごした結果、結婚生活はうまくいっていなかったようです。
『星の王子さま』の中でも恋愛に関する発言が出てきますが、それは自分への戒め、反省でもあったのではないかとされています。
・星の王子さまに隠されたメッセージとはなにか?
最も大切なメッセージは
-愛のイデアは隠されている。
-愛のイデアは失われた時間から生じる。
-愛のイデアには責任が伴う。
の3つになります。
-愛のイデアは隠されている。
作中では王子さまの発言として
「星が美しいのは、そこに見えない一輪の花がさいているからだ・・・」
「砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているからだよ・・・」
といったものがあります。
つまり愛とは目に見えないものだという事です。
また見えないからこそ、愛とい物を通して世界が輝くのです。
-愛のイデアは失われた時間から生じる。
ここは特に王子とキツネの会話に代表されます。
失われた時間と三田誠広は解説していますが、いかにともに時間を過ごしたかが、愛には大きく影響しているということでしょう。
-愛のイデアには責任が伴う。
「君は忘れてはいけないよ。きみに懐いたものに対しては、きみに永遠に責任を持たなければいけない。きみはきみのバラに責任があるんだ。」
"愛が束縛であるのは、お互いに責任を持たなけばならないからです。愛は相手の自由を奪い、自分の自由をも奪う。だから深いきづなで結ばれるのです"
深いことばですね....